パチンコやパチスロは利用者が多く、市場規模も非常に大きいため、公営ギャンブルの一種と思われがちです。実はパチンコは公営ギャンブルではありません。この記事では、パチンコが公営ギャンブルではない理由について解説します。
かじの君
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パチンコやパチスロが公営ギャンブルじゃない理由を解説
パチンコやパチスロが公営ギャンブルじゃない理由としては大きく以下の3つが挙げられます。それぞれ具体的に解説します。
パチンコはギャンブルではなく風俗営業法の適用下にある
公営ギャンブルにはそれぞれ管轄の法律があり、その法律の定めるところにより「ギャンブル」と定められています。具体的な管轄法はそれぞれ以下の通りです。
公営ギャンブル | 管轄法 |
宝くじ | 当せん券付証票法 |
競馬 | 競馬法 |
競輪 | 自転車競技法 |
オートレース | 小型自動車競走法 |
ボートレース | モーターボート競走法 |
しかしパチンコは「風俗営業法」により「風俗業」として規定されています。法律的な解釈によって、正式に「賭博」や「ギャンブル」としては見なされていないのです。パチンコはあくまでも娯楽産業の1つに過ぎないという認識となります。
パチンコでは現金や有価証券ではなく賞品を景品として出すことが風俗営業法で認められているため、刑法第35条の「法令又は正当な業務による行為」として刑事罰の対象にはならない。
パチンコの運営母体は公的セクターではないため公営ギャンブルではない
そもそも公営ギャンブルとは「公的セクターが運営しているギャンブル」の略語です。公的セクターとは具体的に、国や地方公共団体、関連団体などがあります。
パチンコは警察庁による管轄にあるものの、実際に運営を行っているのは民間のセクターです。マルハンやダイナムなどのように企業が運営しているパチンコ店もあれば、個人オーナーが運営しているパチンコ店もあります。
公的機関ではなく民営化されている以上、「公営」という条件は満たされないため、「パチンコは公営ギャンブルじゃない」と言えます。
店舗で換金しない三店方式を採用しているため厳密には「ギャンブル」に当たらない
そもそもギャンブルとは、当選した場合にお金が貰えることを指します。例えば競馬で購入した馬券が的中すると、賞金の払い戻しを受けることができますね。
しかしパチンコの場合は「三店方式」を採用しており、店内で直接的にパチンコ玉を換金するわけではありません。
パチンコ玉を店内で特殊景品と交換し、その特殊景品を景品交換所に持ち込むことで現金化するという流れがあります。そして景品交換所とパチンコ店は無関係という位置づけです。
つまりパチンコ店ではあくまでも景品を獲得しているのであって、換金するわけではないため、ギャンブルの要件を満たしていないと考えられています。
パチンコは将来的に公営ギャンブルになり得るのか
パチンコが公営ギャンブルじゃない理由を解説してきましたが、「正直面倒くさい」「別に公営ギャンブルと認めてもいいのでは?」と感じる方もいるでしょう。私もその一人です。
では将来的にパチンコが公営ギャンブルになり得るのか否かについて、詳しく解説をしていきます。
過去にはパチンコを公営ギャンブル化する動きも見られた
実は2014年「パチンコ税」といって、パチンコを合法ギャンブルと見なして税収を確保しようとする動きがありました。パチンコの市場規模は実に20兆円にも上っており、1%の課税を行うだけでも2000億円もの税収が期待できたためです。
パチンコ税構想とは2014年より第2次安倍内閣によって構想されている政策。これはパチンコやパチスロの換金時に徴税をするという構想である。税率は1%としたならば、このことにより2000億円の財源が生まれると試算されている。
しかし話し合いは進まず、結局廃案となりました。昨今のカジノ法案を見ても分かりますが、法律を作ったり整備したりするのは、かなり大変なんですね。特にギャンブル絡みの法案は当然反対勢力もかなり多く存在しているため、なかなか話が進展しません。
パチンコを公営ギャンブル化するメリット
仮にパチンコが公営ギャンブルになるとすれば、それに見合ったメリットがあるはずです。具体的に考えられるメリットとしては以下のような点が挙げられます。
- 換金の手間が省ける
- 歳入を確保できる
- 還元率について統一のルールを適用できる
公営ギャンブルとなれば店内で換金をしてもOKとなる点は大きなメリットですね。またパチンコの売上金の一部は政府の歳入になり、財源が確保できる点も見逃せません。
パチンコを公営ギャンブル化するデメリット
パチンコを公営化することには上記のようなメリットがあるものの、実際には公営化されずに今日まで来ています。それはメリット以上に大きなデメリットがあるためです。パチンコを公営ギャンブルにするデメリットとしては、具体的に以下のような点が挙げられます。
- 法整備が面倒
- せっかくの賞金から税金がとられる
- 公務員を運営職員として採用する必要がある
- ユーザーファーストのサービスが提供しにくくなる
- ギャンブル依存症を助長する
- 新台設置などのスピードが遅くなる
上記のように様々なデメリットが予想されます。
公営ギャンブルとなると、倒産や廃業などのリスクがなくなるため、なかなかサービスの質が向上しなくなるかもしれません。すると結果的に客離れが進み、パチンコ人気の低下、パチンコの市場規模の縮小といったデメリットに繋がることも考えられます。
【結論】パチンコを公営ギャンブル化するのはデメリットの方が大きい
もちろん将来的にパチンコが公営ギャンブルになる可能性はゼロではないものの、その可能性は限りなく低いと考えられます。現行のままでも市場規模は十分大きいため、わざわざテコ入れをして貧弱にする必要はないでしょう。
「公営ギャンブルになれば違法性なく楽しめる」という論調もありますが、そもそも現行法の下でも成年者ならばパチンコで遊戯することで逮捕されるなんてことはありません。
パチンコが公営ギャンブルじゃない理由:まとめ
この記事ではパチンコが公営ギャンブルじゃない理由について解説しました。その理由は以下の3点です。
- パチンコはギャンブルではなく風俗業である
- パチンコ店は民間セクターにより運営されている
- パチンコは三店方式を採用しているため厳密には「ギャンブル」ではない
長い目で見ればパチンコを公営ギャンブルと見なした方が良い気もしますが、国会ではパチンコ以外にも話し合うべき課題がたくさんありますので、恐らく将来的にもパチンコが公営ギャンブルとはならないでしょう。
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